国連総会のピン議長は3日、国連改革をめぐり、日本などが長年要求していた国連憲章からの「旧敵国条項」の削除や、安全保障理事会を「透明性のある」組織にすることなどを盛り込んだ「結論文書」の草案を公表した。
日本やドイツなどを敵国と規定した旧敵国条項の削除は、ことし3月にアナン事務総長が発表した国連改革のための「勧告」でも主張されていたが、総会議長が加盟国の合意を得られる見通しが立ったと判断、結論文書に明記したことで条項が削除される公算が大きくなった。
結論文書は、加盟各国の首脳が一堂に会する、9月の国連総会特別首脳会合で協議した内容をまとめる文書で、国連改革の在り方について総括するもの。
結論文書の草案によると、9月14−16日にニューヨークに集まる各国首脳が「国連憲章53、77、107条にある“旧敵国”に言及した部分の削除に同意する」としている。
草案は今後、特別首脳会合開催までに一部修正の可能性はあるが、旧敵国条項削除については強い反対意見は出ておらず、そのまま文書に盛り込まれる見通し。
結論文書はこのほか、国連改革で最大の焦点となっている安保理改革問題について「包括的な改革を行うことを認める」と改革推進を後押しする姿勢を強調。透明性のある安保理に改革する必要性を指摘した。
国連総会のピン議長が3日公表した「結論文書」草案の要旨は次の通り。
▽国連の強化
一、安全保障理事会が、国連加盟国をより広範に代表して透明性のある組織となり、決定の合法性を確保し効率性を向上させるために、包括的改革を行うことを認める。
一、人権問題を重視するため、人権委員会を常設の「人権理事会」とし、ジュネーブに拠点を置く国連総会の補助機関とする。
一、国連憲章53、77、107条の「旧敵国」に言及した部分の削除に同意する。
▽開発
一、地球規模の開発が遅滞しており不公平に行われている現状を懸念する。貧困解消に関与し、人々すべてのための開発と繁栄に関与する。
▽平和と集団安全保障
一、核や生物・化学兵器の拡散、進展しない軍縮、テロ、組織犯罪など、多くの脅威に直面していることを認識する。
一、武力行使に関する原則の論議を継続する必要性を認識する。
▽人権と法の支配
一、人権保護や法の支配、民主主義を尊重し、これを拡大させることに関与する。
≪「時代錯誤」共通認識に 戦後の課題“決算”へ≫
ピン国連総会議長の「結論文書」草案の中で、国連憲章からの「旧敵国条項」削除が明確に示されたことは、同条項が既に「時代錯誤」であることが国連加盟国の共通認識となったことを確認したといえる。日本にとっては、未解決だった戦後の課題の“決算”に向けて一歩近づいた形だ。
ピン総会議長の結論文書草案は、3月にアナン事務総長が発表した国連改革のための「勧告」に対する加盟各国からの意見を集約したもの。
旧敵国条項削除を明記した一方で、今回の国連改革の焦点となっている安全保障理事会改革については「包括的な改革」を求めているほかは極めて短い記述となっている。
常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)が常任理事国枠の6カ国増を求めているのに対し、イタリアなど「コンセンサス(総意)グループ」が非常任理事国だけの拡大を求めるなど、意見の隔たりが大きい現状を反映した。安保理改革の難しさを浮き彫りにしたともいえる。
■旧敵国条項 国連憲章53条は、安全保障理事会の許可がなければ他国への武力行使をしてはならないと規定しているが、同時に日本やドイツなど第二次大戦の敗戦国を「旧敵国」とし、旧敵国への武力行使は安保理の許可を必要としないと定めている。107条は旧敵国と第二次大戦の結果結ばれた条約や協定は国連憲章に優先すると規定。国連信託統治制度を定める77条も「敵国」の表現を使っている。対象国は明記されていないが、日本、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの7カ国。
2005年06月04日
国連改革結論文書草案
旧敵国条項削除を明記 国連改革で憲章改正へ
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