平成18年(2006年)11月3日(金曜日、文化の日)貳 通巻第1609号
上海の日本企業立ち退き問題、これから大揉めになりそう
はじめから誘致そのものが「罠」だったのではないか?
上海の北郊外に進出した日本企業10社が、とつぜん「立ち退き命令」に遭遇し、約束が違うと説明を当局に求めている。
代替地、補償額の提示さえないままという。
この場合の“当局”とは上海市嘉定区。
「区政府」と言っても上海市郊外の大都市という風情で、日本で比喩すれば「川崎市」とか、「船橋市」とかにあたる。
この「区政府」が工業団地に外国企業の誘致を呼びかけたのは2001年頃からと言われ、げんにハウス食品など、日本企業10社を含む24社が進出した。
産経新聞によれば、立ち退き対象企業は、この地域だけにおさまらず、合計して、日本企業50社が立ち退きの対象になろうという(11月3日付け、産経上海・前田徹支局長)。
2004年に操業を開始した同時刻に、区政府は当該工業団地の商業地域へのシフトを決めており、それを判っていながら外国企業を誘致したということは詐欺同然の行為である。
おりしも九月以来、上海政界は嵐のなかにあって上海市トップが拘束、解任。いまも上海の政治家五十人ほどが取り調べを受けている。
これまで冷遇されてきた上海の非主流派が、次は我々のチャンスと事態の展開を心待ちにしているという情報まである。
この事件と、嘉定区政府との関連が、これから表面化してくる可能性もあるだろう。
タイの軍事クーデターはある種タイの伝統でもあり、"軍"と名が付く事やイスラム信者の台頭を懸念する声もあったが、概ね国民の意思を反映したものだったろう。中国の場合は最高権力者側のクーデター(おかしな表現だが)が起こっているわけだが、こちらの場合は国民の意思は関係無い。それどころか、民間の財産が共産党内の政争の具にされている状況で、本件はそれに日本企業が巻き込まれた例だ。突っ込んだ金は戻って来ない。軍事クーデターが起こったからといっても殆ど影響を受けなかったタイ進出企業と、表面上は何事も無く平穏なのに財産を失う中国進出企業。世界には組むべき相手と組んではいけない相手が歴然と在る。組んではいけない相手の宣伝をしていた日経など日本のメディアも詐欺の片棒を担いでいた事が非難されて然るべきだ。

