2009年12月23日

市場原理主義が敗北で市場統制主義の勝利なのか

宮崎正弘の国際ニュース・早読み 
平成21年(2009年)12月23日(天皇誕生日)通巻2816号
(前略)
 12月22日、北京の「金融論壇」に出席した周小川は以下の大意で講演した。
「国際金融界は通貨膨張政策を議論しているが、中国は通貨膨張を抑制し、一方で経済成長を堅持し、さらには国際収支の均衡を保持し、預金準備率を健全に保つ金利政策を行う」
 
 金融政策が中国の経済政策の根幹に位置するようになったのは過去十年ほどである。
 第一に金利政策だが、国有銀行の一方的な国有企業への貸し出しという全体主義経済にありがちな金融の偏在態勢から、外国金融機関の参入などにより、国際的な金利情勢と適合できるようになる。
すなわちインフレ懸念には金利を上げて市場への通貨供給を減らし、デフレ基調に転ずれば金利を操作して対応する。

 第二に通貨供給を、銀行の預金準備比率を上下させつつ通貨の流れの調整を図る。
 過去五年ほどに、この金利と通貨供給のタイミングを選んでの発動で、理論的に言えば、まずまずの成果を収めてきたといえる。
あくまでも「理論的」に、である。

 第三は貿易収支の均衡を図ることだが、為替政策の発動によって輸出入の調整を図ろうと努力した。過去五年間で、人民元はドルに対して21%の切り上げとなり、対米輸出が減少したのも事実である。
(後略)

 もう10年前、中国がWTO加盟する際、知り合いの中国人としていた会話を思い出した。
 彼女が、WTO加盟は両手を挙げての喜ばしい事と言うので、私は、閉じた世界が開かれるのは競争に晒される事でもあるのだから、長期的には良い事だが、短期的には苦しい場面や層が表れ、少なくとも数年は混乱は有るだろう、と言った。
 結果は、彼女の言い分の方が当たっていた事となった。

 私の誤算は、中国政府を信用し過ぎていた事だ。

 しかし中国人は本当にこれで良かったのだろうか。

(前略)
 ところが理論的に解けない謎がいくつも存在する。
 「ナンデモアリの中国」ゆえに、西側市場経済の理論ではとうてい理解できないことがおきるのだ。
 
 第一に外貨準備高の急膨張は経常収支統計からみても異常な膨らみを示した。
 黒字の累積が外貨準備であるとすれば、貿易黒字の累積の二倍近い外貨の膨らみはどう理解すれば良いのか?
 つまり海外からの投機資金の流入が不動産、株式、商品への投機に回り、最終的には人民元切り上げという投機の思惑に関連していること。
 反面、当局の通貨介入が天文学的に行われており、中国はドル買いを継続していること。 

 第二に通貨供給量と偽札流通との関連。
 通貨流通量のおよそ二割が偽札と推定されるが、最近の偽札は精巧を極め、とても偽札発券機で判別が出来ない。「偽札が本物であり、本物が偽札」であるというほど。小誌でも繰り返し指摘したが、日本円の五千円札、一万円札を中国が発行できない最大の理由は何か? 最高額面が百元(現在のレートで1300円)。
 説明不要だろうが、五百元、千元紙幣を発行した場合、偽札に対応できないからである。

 第三は金利政策による調整と闇金融の関係
 賄賂社会の中国では銀行から借り入れた場合、通常4%ほどの『謝礼』が返される。実質金利(この場合の「実質金利」とは中国的賄賂社会的要素加算の金利という意味)は公定歩合よりはるかに高く、闇金融の金利と同じレベルとなる。つまり金利政策の効用に限界がある。

 理論と実態の乖離はこれほど激しく、周小川の理論が政策的に疑問符がつくのも、また中国的現実なのである。

 10年前も100元は1400〜1500円くらいだった。全く可笑しな話。
 最早出すに出せない膨大な不良債権の本当の数字。中共が自ら出す事はもう未来永劫無いだろう。日本人に生まれて律儀で几帳面なDNAを宿す身としては精神を病みそうな有様だが、その中で上手く立ち回っている一般の中国人の方がよっぽど現実的なのかも知れない。 一番賢いのは、政府を過信などしない、統制利用主義者といったところか。

 日本の独裁者に対してその姿勢を執るべきか否か。堕ちてでも飽食か、食わねど高楊枝か。
 誇りの有無の問題。

posted by あんぽんたん at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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