2010年07月15日

格付けそのものの信用が破壊されていくのかも

宮崎正弘の国際ニュース・早読み 
 平成22年(2010)7月15日(木曜日)通巻3022号 
中国の格付け機関が投資戦略のシフトをうながし、多元化を示唆
 それでも米国債に9000億ドル、日本の国債は、その百分の一に過ぎず

 世界三大格付け機関といえば、S&P(スタンダート・プア)、ムーディズ、フィッチである。
世界中の国と地域が発効する国債、地方政府債、社債の信用力をランキングつけし、機関投資家に、その情報を提供する。日本の銀行の格付けを劇的に意図的に下げて、欧米の格付け機関は日本の金融不況を側面から促進した形跡もあり、一部投資家には「格付けが意図的、政治的」と批判する向きもある。

 この信用を第一とする核付け機関の列に中国が参入してきた。

 中国に同類の格付け機関が誕生したのは1994年。その名を「大公国際資信評価有限公司」(英文名DAGONG)という。
 これまでは目立つ活躍もなく、世界の投資家にはその存在さえ知れ渡っていなかったうえ、中国がありあまる外貨を資本に国家の投資企業(CIC)を立ち上げたときも、アドバイザー役と果たした訳でもなければ、同機関がブラックストーンなど米国の荒っぽいヘッジファンドに30億ドルを投資し、失敗しても同行からの発言は聞こえてこなかった。

 俄然、注目をあびたのはリーマン・ショック、ドバイ・ショック、ギリシア・ショックとたてつづいた金融不安に直面し、中国が真剣にポートフォリオ変更に歩み出したからである。

 つまり米ドル中心の米国債への集中投資パターンの組み替えだ。

 多元的に世界をみわたし信用の高い金融商品に投資し、ドル基軸、米国中心主義という路線を戦略的にシフトさせ、米ドルユーロ英ポンド日本円から、さらには豪ドルスイス・フランへも保有する通貨を多極化させた。

 日本で注目されたのは2010年に入ってから中国が猛烈に日本の国債を買い始めたからである。
 しかい米国債に投資した9000億ドルと比べれば、日本の国債保有は、その百分の一に過ぎず、脅威視するには時期尚早だろう。

 投資対象の多元化、通貨保有の多極化というポートフォリオの組み替えは、西側のファンドなら皆が行っている日常業務だが、これまでの中国の投資行為は基本的に政治であり外交の手段であり、対米投資が重点だった。


 ▲いかなる政治判断でランク付けをおこなったか?

 さて大公国際資本信用評価有限公司だが、設立の主意を改めて読んで驚いた。
 「国際社会における中国の信用力を高め中華民族の復興が重大目標である」としているから、一国中心主義、自己本位。これでは客観的評価ができる筈がない
 
 ちなみに同行が最近発表した国別評価は次の通り(アルジャジーラ、7月15日)。

 AAA  スイス、デンマーク、ルクセンブルグ、シンガポール、豪州、ノルウェイ等
 AA+  中国、ドイツ
 AA   米国
 AA−  日本、フランス、英国、韓国
 A−   チリ、ベルギー、スペイン、南ア、露西亜、エストニア、マレーシア、
イタリア、ポーランド、ブラジル、ポルトガル、イスラエル等

 この評価は専門家からみても「政治的配慮」がまだまだ強く全面出でている。
そればかりか、中国の国債、社債の信用力が日本のそれより2ランクも上になっており、ユーロ危機で破綻した「ギリシアの次」と危険視されるイタリア、スペイン、ポルトガルがそろってA−のランク入りしているのも、どうみても尋常なる評価とは考えにくいだろう。

 現在、中国が保有する米国債」は9002億ドル(ヘラルドトリビューン、7月15日付け)、ただし長期債を七年以内の中短期債権にシフトさせている。これは次の中国の投資行動の一種のシグナルであろう、と観測されている。

 客観性を加味した対外的に発表する官製格付けと、自分達の為の真の調査格付け。格付けというよりも諜報機関の類。

posted by あんぽんたん at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月01日

国民総諜報工作員、ならばきちんとそういう扱いしましょう

 現代の戦争は金融も含めた情報操作戦。だから日本は強い経済力を「戦力」としてきた。しかしその「戦力」は弱体化し、何より、士気が低い。欧米式の個人主義という嘘まやかしの言葉に騙され、今も信じ込んでいる似非自由主義者はしらっと「海外に逃げる」などと言う。よく噛み締めてほしいもんだ。

宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 平成22年(2010)7月1日(木曜日)弐 通巻3008号 
中国、国防動員法を施行(7月1日より)
 国防緊急対応のための国民総動員、戦略備蓄、予備役招集など

 7月1日より「国防動員法」が中国で施行された。
つまり国家非常事態における国民総動員を法律によって規定し合法化」したシロモノで、外国に住む中国人も適用を受ける百万近い在日中国人も長野五輪紅旗動員事件のように強制動員が可能となる。

 もとより国防動員法は、単独で審議されてきた法体系ではなく、1997年の全人代にさかのぼる。第十五回全人代は「2010年をメドに中国の特色ある社会主義的法律体系の確立」がうたわれた。
 これらは憲法を基軸に民法、商法、経済法、刑事訴訟法にくわえて地方行政規律などを「総合的」に「有機的に」統一しようとする目的が掲げられ、2000年九月に起草作業が開始された。

 起草開始から九年後、09年4月の全人代常務委員会は「国防動員法」の概要について起草状況にふれ、「国防動員体制戦略備蓄国防関連法の整備ならびに国防建設プロジェクト予備役軍事科学戦争災害救助ならびに予防宣伝」などからなり、指揮系統が決められるだろうとした。

常務委員会の草案では「主権、統一、領土保全、安全」が脅かされた場合、直ちに対応措置が執られることが決められた。

2010年2月26日、国防動員法が決定された。
世界に向けて発表されたが、日本のマスコミは殆ど黙殺した。最大の着目点はこの国防動員法に金融が筆頭の課題として登場したことだった。

▲戦争の準備はいつでも出来た、と豪語したのだ

 同法の着目点は、戦略備蓄の強化と国際金融危機、つまり金融災害(リーマン・ショックやアジア通貨危機のような)に際して、この法律が適用されることである。

 危機に際して国務院と中央軍事委員会に指揮系統が集中され、十八歳以上の国民は男女を問わず、全員が法の適用をうけ、その対象は外国に住んでいる中国人を含むとされた。

 中国の銀行、証券、保険の倒産、債務不履行や株価暴落、あるいは人民元乱高下によりマーケットのパニックがおきた場合、軍隊が動員されて銀行を管理下におくことも法律的に可能となり、同時に注目に値するのは、この国防動員法制定と平行して、中国は人民元国際化の工程表を発表したことである。

 すなわちリーマン・ショック直後から事実上の人民元固定相場堅持、貿易の弐国間決済、通貨スワップ制度の導入にくわえて東アジア全般での人民元経済圏の構築、そのうえに立って2013年までに人民元を「SDR通貨バスケット」に加盟させること、つまり1−3%程度の国際決済は人民元で行われることになるという、遠大な計画を中国は世界に向けて公言したのだ。

 この動きを受けたIMFのドミニク・ストラウ・カン専務理事は「人民元はれっきとした通貨であり、IMFのSDR通貨バスケットに加入する権利はある」と述べた(朝日新聞英語版、7月1日)。

posted by あんぽんたん at 17:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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